第1章

7/30
前へ
/247ページ
次へ
それはここ数年の話ではないし、近くにいれば誰もが思うだろう。 「ほんと、やることなすこと完璧というか、  ぶっ飛んでて気持ち悪いというか。  能力も、考え方も思考回路も、  ネジが何本か抜けてんだろ」 「そう!特に流さんな。  少々の悪事働いても、  何でも笑って受け入れちゃうからなー。  どういう感覚してんだか、  こっちが心配になるわ」 夜中に制服で繁華街をほっつき歩き、警察に保護された時のことか。 先輩と喧嘩して相手に大けが負わせたときのことか。 公園で昼間っから酒を飲んでやっぱり警察に保護された時のことか。 大介が何を思い出してそう言ったのかはわからないが、とにかく懐かしそうに目を細めた。 「ほんと、イツの将来が心配だよ」 部室から、地味に遠い正門。 何故正門とグラウンドの間に校舎と格技場があるのか、意味が分からない。 普段は4人で歩いて自由な会話で盛り上がりながらの下校なので、この長い道程を歩くこともそんなに気にならなかった。 この道を大介と二人だけで歩くのは、かなり久しぶりかも知れない。 いつも、渚や一流がいたから。
/247ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加