第1章

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--- 俺たちに、ルームシェアするよう命じたのは葉流さんだった。 守が寝坊しないように。 俺が破産しないように。 うちの親もすぐに賛成して、俺たちも特には異論もなかったのでそのまま承諾した。 どうせ部活漬けで、個人スペースが欲しいと思うほど在宅時間は長くない。 広めの部屋を契約して、二人で生活を始めたのは去年の話。 守と二人で暮らし始めたころは広めに感じた部屋も、一流と渚が増えるとぐっと狭くなる。 俺たちは出していたベッドを解体して、今では四人が地べたに雑魚寝だ。 正直、疲れはちゃんと取れない。 何か考えないとな。 そんなことを考えながら、横を眠そうに歩く守を盗み見た。 大きな欠伸だ。 いくら部活がハードだからとはいえ、着替えながら寝るのは異常だと思う。 しかも、夢まで見ているのだから。 本人が気づいているのかいないのかはわからない。 けど、一年同じ部屋で寝起きして分かったことが一つ。 割と頻繁に、守は夢にうなされている。 大体、何の夢なのかは見当がつくけど。 四人で暮らすようになってからこの数か月、それがなかったから少し油断をしてたかもしれない。
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