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「この学園、荒れるかも知れないですね」
パソコンを閉じながら言う彼は不敵な笑みを浮かべていた。
「何か変なこと考えてないだろうな」
「考えてますよ。もちろん、貴方のために。・・・それに」
釘を刺すような俺の問いをあっさりと肯定した彼はさらに続けた。
「すでにもう手は打ってあります」
「行動が早いこと」
彼の発言に驚くこともなく嫌味ったらしく言えば、
「お褒めの言葉、光栄です」
と笑顔で返された。
本当に嫌味な男だ。
俺がこの男の急な発言に驚かないのは、もう慣れたことだから。
幼いころからずっと一緒にいるこいつの言動には振り回されてばっかりだ。
男の名は、須賀龍音[リュウオン]。
秘書や執事としてに葛城家に代々仕える須賀家の長男だ。
将来、葛城の長男である俺の秘書になる男。
俺自身は、別に龍音じゃなくても良いと言っているのだが。
彼は、
「永遠にお仕えします」
と言っている。
そこまで言われれば無下にする理由もない。
こんなに優秀な人材はそうそういないからな。
まぁ、幼いころから一緒にいたというのもあるが、龍音が下にいるというだけで何故か安心する。
それを彼に言ったことはないし、今後言うつもりもないが。
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