[3] カウントダウン

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【Side 悠人】 やはり翡翠は大人だ。 僕よりも全然。 僕の言葉に怒りの顔を向けたものの、自分を抑えて話をすり替えた。 いや、元に戻したの方が正しいか。 僕が黙ると、彼はコーヒーを置いて立ち上がってしまった。 見つめるカップに、コーヒーは残されていて。 僕と翡翠との距離を感じた。 「翡翠」 横を通り過ぎる彼の名を呼ぶ。 今言わなければ、この先言えなくなる。 そう思った。 だから、思い切って言葉を続けた。 なのに…… そんな、優しい声で、僕の好きなその声で…… それは反則だよ。 言葉を詰まらせるしかない。 嬉しさと切なさが入り混じる。 「翡翠……」 もう一度名を呼んだその声には僕の訴えが詰まっていた。 我ながらそう思う。 でもそれは小さすぎて、同時に言葉を発した彼には届かなかった。
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