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あれからどれくらいだろうか。
結構長い時間がたったと思う。
立っているのも辛いと思えるくらい。
俺はさっきからずっと悠人に後ろから抱き締められている。
何もしゃべらず、ただ俺を抱きしめているだけの悠人に、なんと声を掛けていいかも分からず、なすがままにしているが、そろそろまずい。
もうきっと終業式は終わってる。
早くしないと龍音が帰ってきてしまう。
「悠人、離して」
優しくそう言えば、彼は手の力を緩めた。
「貴方達は一体何を考えているんですか?何をしようとしているんですか」
「・・・」
悠人のその問いには答えられなかった。
だって、俺自身よくわかっていないから。
龍音が何を考え、どのように実行しようとしているのか。
最終的な目標のような結果のようなものは知っている。
でも、それは実現できることなのだろうか。
学園を、崩壊させるなんて・・・
今日理事長室に行って思った。
所詮俺たちはまだ高校生なんだ。
俺たちの考えなんて、理事長の力でねじ伏せられる可能性だってある。
まぁ、あの理事長に限ってそれはないと思うが、何せ、彼には優秀な秘書が付いている。
沢井さんという、龍音と似た、なんとも読めない人が。
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