[3] カウントダウン

29/35
前へ
/89ページ
次へ
あれからどれくらいだろうか。 結構長い時間がたったと思う。 立っているのも辛いと思えるくらい。 俺はさっきからずっと悠人に後ろから抱き締められている。 何もしゃべらず、ただ俺を抱きしめているだけの悠人に、なんと声を掛けていいかも分からず、なすがままにしているが、そろそろまずい。 もうきっと終業式は終わってる。 早くしないと龍音が帰ってきてしまう。 「悠人、離して」 優しくそう言えば、彼は手の力を緩めた。 「貴方達は一体何を考えているんですか?何をしようとしているんですか」 「・・・」 悠人のその問いには答えられなかった。 だって、俺自身よくわかっていないから。 龍音が何を考え、どのように実行しようとしているのか。 最終的な目標のような結果のようなものは知っている。 でも、それは実現できることなのだろうか。 学園を、崩壊させるなんて・・・ 今日理事長室に行って思った。 所詮俺たちはまだ高校生なんだ。 俺たちの考えなんて、理事長の力でねじ伏せられる可能性だってある。 まぁ、あの理事長に限ってそれはないと思うが、何せ、彼には優秀な秘書が付いている。 沢井さんという、龍音と似た、なんとも読めない人が。
/89ページ

最初のコメントを投稿しよう!

943人が本棚に入れています
本棚に追加