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「ごめん・・・悠人。俺もよくわからないんだ」
曖昧に返せば、強い力で肩を引かれ、向きあう形になった。
強く掴まれた肩が痛くて顔を上げれば、眉にしわを寄せ、納得いかないと言いたいような顔をした彼。
「翡翠は……」
-バーン!!!-
彼の声は突然勢いよく開いたドアの音によってかき消された。
「・・・!」
それには俺もびっくりした。
誰かと思い、背を向けていたドアを振り返れば、そこには今一番会いたくなかった人がそこに立っていた。
「何をしている」
静かにそう言った彼は俺ではなくまっすぐに悠人を睨みつけていた。
「龍音」
「翡翠の前ですよ。私は知ってるわけですし、素で話して大丈夫では?」
驚いていたのは悠人も一緒のはずなのに、名前を呼ぶことしかできなかった俺とは違い、すぐに彼は笑顔でそう言った。
俺に触れている手は離すことなく。
「離れろ」
短く言う龍音。
相当怒っている・・・
ピリピリとした空気が生徒会室内に漂っていた。
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