[3] カウントダウン

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「貴方様にはもう説明したはずです」 龍音の声が頭に響く。 前に説明されたこと。 それは学園を崩壊させるということ。 全てが整ったということなのか? それが、どうして俺と悠人の想いが同じでも縁りを戻せないということにつながるのだ。 別にこの学園が無くなったところで問題はないはずだ。 「もうお忘れですか?貴方は会社を継ぐのですよ」 俺をバカにしたような彼の眼。 龍音のその言葉で、悠人が息をのむのがわかった。 「それに、移転先に彼の居場所はありませんから」 「はぁ!?」 俺が父の跡を継いで社長の座に就くのは理解できる。 前もって言われていたことだ。 だが、悠人の居場所がないとはどういうことだ? これはゲームなはずだ。 悠人は俺らがやろうとしていることに気づいた。 そして、転入生よりも俺を選んだ。 明らかに悠人の勝ちだろう。 俺はそれを認めて名前呼びをしているのだ。 それなのに、龍音はそれを認めないとでもいうのか。 「生徒「言っておきますが、今のあなた方に生徒会の権力は使えませんよ」」 「何を・・・」 俺が言おうとしたことを察したらしい龍音が、俺の言葉を遮り口にした言葉は、意味のわからないことだった。 生徒会の権力を使えない? だって、まだ学園は移っていない。 俺と悠人は、まだこの学園の生徒であり、『生徒会役員』だ。 「貴方達生徒会は先ほどの終業式でリコールされたんですよ。理事長もそれを受理し、正式に生徒会の総リコールが決まりました。つまり、あなた方はもう生徒会役員ではないということです」 俺と悠人は龍音の説明を聞き、目を見開く。 理解に時間がかかる。 しばらく動くことができなかった。
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