[3] カウントダウン

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頭がうまく回らない。 まるで思考回路が止まったかのように。 「一体誰が・・・」 今日呼び出された時の理事長の様子から俺らをリコールしようという考えは見られなかった。 風紀委員長である龍音が? いや、でも彼がそんな表立って動くとは考えられない。 だとすれば、残りは親衛隊しかない。 それは少し考えればわかること。 だけど、俺がそう考えたのは龍音が答えを出した後で、確かにそうだと、納得せざるを得ない。 「なら、俺に終業式は出なくていいと言ったのは・・・」 「リコールを速やかに決定させるため・・・」 俺に続くように言った悠人。 俺がその場にいないほうが都合がよかった・・・から? そんな意味を込めて龍音を見れば、彼は「いえ」と短く答え、一度目を伏せてからまた口を開いた。 「その場でリコールを受諾されるのは辛いでしょう。例え、諦めていても」 その言葉を頭が理解した時、俺は複雑な気持ちになった。 確かに俺は諦めた。 生徒会を、役員を、そして学園を捨てようと思った。 悠人を目の前にして、久しぶりの彼の愛情に触れて、そちらに傾く気持ちがある。 もう一度・・・ そう思ってしまう自分がいる。
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