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ただのゲームだと思っていた。
最初は、ほんの出来心だった。
このつまらない生活に嫌気がさして、何か刺激がほしかった。
悠人の気持ちが転入生にあると知ったとき、何かが一気に崩れた気がしたんだ。
今までの楽しくて落ち着いたこの生活が崩れるなら、いっそ学園ごと壊してしまえと。
だから龍音に賛同したんだ。
もう後には戻れない。
たくさんの人を巻き込んで、莫大な金を動かした。
それがどういうことなのか、俺はしっかりと理解している。
理解しているから・・・
「離して」
いまだに俺を抱きしめる彼の腕に軽く俺の手を乗せ、そう促す。
「・・・」
目を合わせれば、離したくないとでも言いたいような、寂しそうな目をしていた。
今そんな顔されたら、俺だってどうしていいかわからなくなる。
これは俺のため、そして悠人のため。
意を決して俺は彼の脇腹を肘で突いた。
痛みに顔をしかめながら崩れ落ちる。
俺はそんな悠人を見ないように生徒会室を後にした。
さよならだ、悠人。
俺のあとからは龍音が付いてきて、静かに扉を閉める。
閉まる瞬間に振り返って見えた部屋の中の悠人は、今まで一度も見たことがない悲しい涙を流していた。
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