01.ハジマリ、ハジマリ。

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------- 「数Ⅱの特別講習、今日からだっけ。 教室は……と」 トン、と、誰かと肩がぶつかる。 「あ、すみませ……」 「…シン?」 「! マヤ!」 そこにいたのは、なんとマヤだった。 …私服姿も、センスがあって格好いい。 羨ましいなぁ。 「偶然だね…ここの塾に通ってたの? 今まで逢ったことないよね?」 「あぁ、最近通い始めたんだ。 今まで他のトコ行ってたんだけど、こっちに興味があるコースがあって。 あと、同級生に誘われて」 「同級生…?」 「どーも、初めまして! この人が噂のシン?」 ひょこ、とマヤの陰から姿を現したのは、物凄い美人。 腰まで長い黒髪は艶々としていて、同級生とは思えないほど大人っぽい。 「黒田 美月です。 よろしく」 「あ…よろしくお願いします」 不意に握手され、なんだかどぎまぎしてしまう。 いい香りもするし… マヤの彼女…なのかな。 やっぱり、イケメンの彼女は美人さんなんだなー。 「おい美月、シンって呼ぶな。 呼んでいいのは俺だけだ」 「えぇ、なにそれ?? 意味わかんない」 「…あ、2人とも。 講習始まる時間だよ。 早く行こう」 時計は7時を示していて、急かすようにマヤの服を掴んだ。 …のだけど。
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