02.不可解ナ、感情。

12/13
前へ
/186ページ
次へ
沙彩の隣にいたのは、『茜ちゃん』ではなく… 男、だった。 制服が同じだから、同じ学校なんだろうけど…見た事のない人だった。 「…どーする? シン。声掛けないのか?」 「……いや。 遊んでるとこだろうから、大丈夫。 帰ろ、マヤ… …?!」 沙彩が、その男の首に腕を回して。 …キスを、している。 「…いいのか?」 「な、なにが? 何も見てないよ。 見てない…――」 「そうやって何も見なかった事にして… 山岡に、何でもなかった様に接するのか? 馬鹿らしい… 理解のある彼氏気取りか?」 ――…カァッ、 「マヤには、わかんないよ!!」 俺の事を好きだって言ってくれるのは、 俺を必要としてくれたのは、沙彩だけだったんだ。 だから、沙彩に嫌われたくなくて、 我儘は何でも聞いて来たし、 嫌な事は見てみぬフリをしてきた。 「色んな人に好かれてるマヤには、わからない…」 本当は、今までも沙彩の浮気現場を見て来た。 でも、やっぱり見てみぬフリをしてた。 そうすれば、『俺を好きでいてくれる人』を失わずに済むから。
/186ページ

最初のコメントを投稿しよう!

398人が本棚に入れています
本棚に追加