03.僕ト君ノ罪、過チ。

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ドクン、 ドクン、 ドクン… 自分の心臓の音が、ここまでうるさく聞こえるのは初めてだった。 体が震えているのを悟られない様に、右手で逆の二の腕を強く掴む。 此処は、マヤの部屋。 「…ご両親は?」 「出張。 1週間は帰ってこない」 「そ、そうなんだ…」 …声も震えてしまっている。 今更、逃げられないのに。 どうしよう…。 「…逃げたい? シン」 「っえ…」 「でも、駄目だよ」 ――…ドンッ! 不意に、体を強く押されて。 バランスが保てず、勢い良くベッドに倒れる形となった。 次いで、体にかかる重み。 視線を上げると、彼の顔がすぐ近くにあった。 「ま、マヤ…」 「…此処まで来といて、今更逃げたいなんて…ひどいな、シンは。 逃げたいなら、いいよ。 …追い掛けるけどね」 突然の、暗闇。 目隠しされている、と、気づいた。 「このまま俺に抱かれるなら、目隠しだけで済むよ。 でも逃げるなら、もっと酷い事するかも。 …それでもいいなら、逃げて? シン」
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