01.ハジマリ、ハジマリ。

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沙彩の表情が、目に見えて明るくなる。 本人に言ったら否定するんだろうけど。 沙彩が俺と付き合い続けてるのは、多分、どんな我儘を言っても俺が離れないから。 それと、沙彩は生まれつき体が弱い。 それをリスクと捉えているみたいだから。 俺も、沙彩のことは好きだけど、一番は、俺や沙彩の両親に「沙彩を守ってあげて」と言われているから…。 一種の使命感というものかもしれない。 でも、恋愛は色んな形があるというから…俺たちは、これでいいんだと信じている。 「橋本くんは、皆になんて呼ばれてるの?」 「えっ…」 「慎くんはねー、橋本くんとか、慎ちゃんとか! でも慎くんって呼び方は私だけなのーっ」 「…へぇ。 そうなんだ」
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