序章

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序章

 月。  数世紀前までは人類未踏の大地として存在した。  月を人類統合の象徴とした。  月にある都市。  月面の地中に設置された大都心。  そこでは市街戦が展開されていた。  都市各地には包帯姿のゾンビみたいなものがたくさんいる。彼らを迎え撃つは「予防展開軍」。  「月面帝都」と呼ばれたこの人類統合の象徴の大都市が構築した世界平和のための独立治安維持の軍隊である。  「月光服」と呼ばれる黄金の戦闘服と黄金のベレー帽を纏った兵士たちが黄金の銃火器で「月面ミイラ」と呼ばれた彼らと激戦と呼ばれていた。  月面ミイラである彼らは月にあるお墓より目覚めたばかりであった。  予防展開軍の地上部隊はありたっけの鉛玉をぶっ放つ。  月面ミイラには効果抜群だった。四肢が砕け散り、頭部も粉砕された。銃火器でこんなに余裕であったならば予防展開軍が戦争レベルの装備で対処するはずがない。  月面帝都を襲う月面ミイラの頭数は1万人に匹敵するらしい。  月面ミイラの個々が月面帝都の市民を1人だけを食す。けしてゾンビにように無我夢中で新鮮な細胞接種のために何人も喰らうわけではないらしい。 〓展開兵〓 「おい、見ろよ!!! 別部隊の兵士の肉をがっつきやがったあの月面ミイラ!!! 見る見る内に若返っていくぞ!!!!」  肌が青白くなり、真っ黒な目に黄金の瞳孔、細長い尖った耳。魔族と言い表したような姿へと変貌していく。 〓指揮官〓 「一斉に構えて撃てぇぇぇぇええ!!!! 奴ら月面ミイラが地球に降り立ったら終わりだぁああああ!!!! そのための危険対象を予防駆除する!!!」  ロケットランチャー、戦車。ありたっけの火力を叩き込む。若返った月面ミイラたちは何か喋りだした。電子音のような声色だった。  若返った月面ミイラたちは死体から奪った予防展開軍の銃器を手に取り、反撃に転じる。  予防展開軍の兵士たちは次々とやられていく。後退を余儀なくされていく。  一歩、一歩ずつ下がる予防展開軍の兵士たち。  どこかの予防展開軍専用の倉庫に停車してあった戦車、装甲車をなんと月面ミイラたちは盗難し、運転して激戦地へと移動させてくる。  戦況は一変する。  月面帝都に残存する兵力は1000人程度である。1万体に達する月面ミイラには遠く及ばなかった。
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