第1章

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「ほんとっ!?」 ぱあっと笑顔になった大樹はふんふんと鼻歌を口ずさみながら、スキップした。 「俺、よっしーと一生一緒にいる!」 「はは、それは困るなぁ~」 そんな他愛無いことを二人で話していて、そういえばと思い出した。 「そういえばさ、お前明日誕生日だよな」 「ほ?そうだけど…なに?なにかくれんの?」 「んー…、ここ数日考えてるけど、ぱっとしたものが思い浮かばなくて…。大樹は何がほしい?」 んー…と大樹はしばらく考え込んで、ぽんと手のひらを叩いた。 「よっしーのネタ帳がほしい!」 「は?お前、そんなんあげれるわけないだ「俺がほしいものはそれなの!」・・・はい。」 大樹の熱意に負けて、俺は大事な大事な話の原案を書いているネタ帳を、大樹にあげることを約束してしまった。 今夜のうちに、全ページメモしとかないと…。 「よっしー、俺楽しみだ。こんなに楽しみな誕生日、初めてだ!」 「おう、よかったな」 「うん!!」 そして、大樹の誕生日から1年くらいたったある日、大樹はバイクで事故して亡くなった。 あいつはバカだ。 大馬鹿だ。 葬式の日、大樹のお母さんからネタ帳を返された。   「これ、あなたにとって大事なものなんでしょう?あの子がそう話してくれたの。あの子、家族にあんまり自分の話をしてくれなかったのに、去年の誕生日にはあなたのこと随分と熱心に話してくれたのよ。」 「そうでしたか…。」 「本当に、あのこと一緒にいてくれてありがとう。感謝してます。」 そう言って、俺の手に小さなメモ帳を握らせた。 俺は、それをぎゅっと握りしめた。 「あの…!これ、あいつにあげたものなんで、今はあいつのものなんです。俺の大事なものだけど、あいつも大事にしてくれた。だから、あいつが天国でもこれを大事にしてくれたら嬉しいっていうか…、その…、あいつに持たせてください。お願いします!」 振り向いた大樹のお母さんは涙をぼろぼろ流しながら、「ありがとう、ありがとう」と何度も俺にそういった。 * そう、今俺の足元にあるこのメモ帳は、ここに存在しないはずのもので、あってはいけないものなのだ。 どうしてこれが・・・・?
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