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生徒たちが微睡に沈んでいる中、授業を終えるチャイムが教室に響き渡る。
それに気づいた教師が、数式を書くのを止め、生徒たちに向きなおった。
「よし、今日はこれまで!!
伝達事項だが、担任の松村先生だが、急に身内の方に不幸があったということで今日は帰りのSHRは無し、特に指示連絡もないということだったから、このままお前たちは帰宅するなり部活行くなりしていいぞ」
教師の言葉を受け、生徒たちが俄かに騒ぎ出す。
そのまま立ち去ろうとした教師だったが、教室の出入り口付近で思い出したように振り返り、男子学生を指さす。
「……あぁ、それとお前!!
化学の綾峰先生が呼んでたぞ、授業が終わり次第化学準備室に来て欲しいとのことだった。
それで、ついでと言っては悪いんだが、この封筒を綾峰先生に渡しといてくれ。
綾峰先生には『明日からの出張の資料です』と言ってくれれば分かるから。
……失くすなよ」
教師は封筒を男子学生に手渡すと、そのまま立ち去った。
男子学生は、封筒を見て面倒くさそうにため息をつくと、机の横にかけてあった学生鞄を持ち、別棟にある化学準備室に足早に向かった。
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