第1章

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 蹴られ続けた男子学生の顔は、止め処なく流れ出る鼻血などで真っ赤に染まっており、制服はトイレの汚水などでびしょびしょに濡れている。  虐めていた学生等がトイレから出ていくのを確認してからノロノロと起き上がると、男子学生はその漆黒の瞳に強い憎しみの光を浮かべながら、トイレの壁を思いっきり殴りつける。 --ドゴッ!!  凄まじい音が響くと、タイルでできた壁面が大きく陥没している。 「…………まだだ、まだ早い。  ………………………………準備ができるまで、もう少しの辛抱だ」  男子学生は小さく呟きながら、暗い笑みを浮かべるのだった。
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