プロローグ

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画面の中の筋肉モリモリの隊長が私を励ましてくれる。 『休憩してもいい。でも、戻ってこい。とにかく、諦めないことだ。』 『ゆっくりでいい、とにかく続けるんだ。そうすれば必ず勝てる!』 私の体から噴き出す汗。 髪の毛が顔に張り付く。 疲れて、息があがるし、体中がへとへとだ。 『苦しいが、結果はついてくる』 『声を出せ』 隊長が声を出せと言っている、出さなくては!!! 「ワン、ツー、スリー、フォー・・・・」 オー、イエー!!! 頑張れ、私。 フンっ、フンっ、フンっ。 画面の隊長と一緒に叫んだ。 『コンバット!!!』 「コンバット!!!」 涼しい顔してもう1セットやれなんて言わないでくれ。 隊長、この光る汗を見てくれ!!! 脱走してもいいだろうか。 黒光りする肌からキラリと光る白い歯を見せて、隊長は私を励ましてくれる。 『諦めるな、君ならできる。』 隊長が諦めるなと言ってるんだから、頑張らないと。 人は褒められて育つんだ!!! フンっ、フンっ、フンっ。 『燃焼させろ!!!燃焼させろ!!!』 燃えてます、隊長、私の体内、確実に燃焼系です!!! さっきアミノ酸のたっぷり含まれた肉、食べました!!! 燃焼系です!!! フンっ、フンっ、フンっ。 「ねーちゃん、そろそろテレビ見たいんだけど、そこ退いてよ。」 弟の勇気が居間にやってきた。 もうすぐ終わりだ。 「あと3分だから!!!はぁっ、はぁっ、はぁっ。」 「よく飽きないよねー、見てるだけで暑苦しいよ。」 7月の終わり、確かに暑い。 だからエアコンのばっちり効いてるリビングでやってるんじゃないか。 『ビクトリー!!!!』 「ビクトリー!!!!」 画面の中の外国の仲間と共に、近くにやってきた勇気の手を握って両手を天に突き上げた。 充実感でいっぱいだ。 感無量。 「うわっ、汗、すげーし。早く風呂、入ってきなよ。」 「はぁっ、はぁっ、はぁっ。疲れたー。」 勇気が私を可哀相な奴って感じの目で見てくる。 痩せてやる。 絶対に痩せてやる。 ♪燃え上が~れ 燃え上が~れ 脂肪 ♪ 鼻歌混じりに風呂場に向かった。
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