ステップ9

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金曜日の朝、目が覚めたときに課長が隣にいてなんか、嬉しかった。 カーテンを開けられて起きたときも近くにいたわけだけど、隣にいるのはまた違った感じだ。 フツメンも、緩みきった顔をして寝てるとちょっとブサメン。 笑っちゃいけないと思いつつ、あまりにひどい顔をして寝てるから笑える。 大口を開けて、ヨダレまで垂らしてる。 キタナイ。 ホットケーキでも作ってあげようか。 昨日、タマゴも買いに行ったし。 ゴソゴソと起き上がろうと思ったら、まとわりついてきた課長の手。 「どこ行くんだよー。」 モゴモゴと話しかけられ 「ホットケーキでも作ろうかと思ったんですけど。」 と言ったらバッチリ目を開けた。 「一緒にやろーぜ。・・・エロいことじゃねーからな。」 ふにゃっと笑っておかしなことを言った。 そんなこと、微塵も考えてなかったし・・・。 「つーか、朝の挨拶してねーって。」 オデコをくっつけられて、そのままキスをされて、なんかその甘さが胸やけだ。 私の人生にこんな甘い瞬間が訪れるとは・・・。 漫画を読んでいたら、絶対に、地面を転がって悶えるか机をバンバン叩いて悶えるかなんだけどな。 実際に自分の身に降りかかると、胸の奥がキュンとしてそんなリアクションはとれないことを学んだ。 そう、本当に漫画の主人公みたいに、照れて笑うしかできない。 「その顔、可愛い。」 さらに、キスしてくる課長。 甘いです。 イチゴに練乳をかけてさらに砂糖を振りかけたぐらい、甘いです。 そして、胸の奥でほんのちょっぴりの酸っぱさも感じました。 こんな時間が永遠に続くわけではないんだからと。
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