5300人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ
特に何かを一緒にするわけでもなく、テレビを見たり、おやつを食べたり、洗濯物を片付けたり。
課長が昨日から仕込んでおいた豚の角煮を一緒にブヒブヒ言いながら食べて、煮タマゴの山に爆笑した。
くだらない会話を重ねて笑って、アイスが食いてーという課長と一緒にコンビニにアイスを買いに行って、若者のようにコンビニの外でアイスの袋をビリビリと破って、むんむんする中でアイスを食べた。
「もう、夜かよ。みゅーのせいで。」
アイスを食べつつ、夜になるのが何で私のせいかと言いたくなった。
意味分からないよって思って課長を見たら。
「みゅーといると、楽しいから時間がすぐに過ぎてく。」
と肩をすくめる。
「私なんて、酒井さんのせいで、1秒間に地球を7回半しそうなほど、早く時間が過ぎていきますよ。」
「バカヤロ。それは、光の速さだろ。」
ふんっと笑った声を聞きながら、こんな会話を重ねることができる時間もあとちょっとかぁと淋しく思う。
課長も淋しいと言わないし、私も言わない。
帰ってくることが分かってることもあるし、心配かけるようなお荷物になる彼女でいたくない気持ちもある。
大阪での仕事が大変そうだということも、電話なんかでなんとなく聞いていたから、それを理解したいという思いもなくはない。
同じ会社に勤めていて、仕事の大変さを理解できないような彼女にはなりたくないんだと思う。
勤続年数のたまものか、社員教育のたまものか。
会社への忠誠心なんてキレイなものじゃない。
ずっと、課長と仕事をしてきたからなんだと思う。
最中のアイスを全部食べてしまった。
一人で。
太っただろうか。
いや、夏休み中、ずっと隊長に会ってないし、太っただろうな。
せっかく60キロ台を切ったのに。
また大台に後戻りかな。
「公園でも行くか。」
手を繋がれて、提案されたのは、多分、前に一緒に行った公園だ。
食べて寝るだけだったら太るだろうし、散歩も悪くない。
「いいですね。」
暑いなぁと思いながら、離さないでいてくれる手の存在が温かい。
最初のコメントを投稿しよう!