ステップ9

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最後に背中を叩いて終了の合図。 「お終いです。」 「やべー、すげースッキリした。俺もみゅーにマッサージしてやろうか?」 できるんか? 「本当ですか?」 振り返った課長の顔を見て、何かマズイと本能が警笛を鳴らす。 「おー、気持ち良くさせてやれると思うけど?」 手の動きが、怪しそう。 「どこをですか?」 「胸の先の頭とか胸の先の首とか。」 乳頭、もしくは、乳首・・・。 一瞬でもマッサージに期待した私がバカだった。 「あははっ、遠慮しておきます。」 「ちっ、残念。明日の夜にがっつりマッサージしてやるからなー。」 言わなくてもいいのに・・・。 残念具合が高まった。 変態課長だ。 最早、変態ではないノーマルなイメージの課長がどこにもいらっしゃらないのが凄い。 何年も近くで働いていたのに、どうしてこの変態臭さに気が付かなかったんだろう。 それに、他の人だって気が付いてない。 やっぱり、忍者の末裔だから自分の素性を隠すのはお手の物なんだよね・・・。 「もう、寝ようかな。」 「みゅーが寝るなら俺もー。」 本当に寝るかどうかは置いておいても、一緒に布団の中でゴロゴロするのは至福のときだったりする。 くっついても大丈夫だし、課長も私を抱き締めてくれる。 たっぷりと匂いを嗅いで、心臓の音を聞いて、淋しいと思う気持ちを紛らわす。 それと、いなくなる前にしっかりと覚えておきたい。 匂いも、心臓の音も。 雰囲気も、見えないけれどもオーラも。 優しい空気も眼差しも。
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