ステップ10

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湯気でくもったお風呂場の鏡にお湯をかけて自分の裸体を眺めてみた。 二日前の夜に課長がつけたイタズラの痕が薄くなってることが、もったいない気がする。 何を考えているんだろう。 キレイに洗って、出て行かないと。 二日前と同じように体中をくまなくキレイに洗った。 シャンプーリンスでアンダーヘアもスペシャルケアだ。 ドライヤーは課長が持ってるから、ドライヤーでアンダーヘアーが乾かせないのが残念だ。 ちょっと、やってみたかったのに。 自宅に帰ったら試してみよう。 サラサラになるのだろうか。 どこもかしこもキレイに洗って、スキンケアもバッチリ・・・かな? 鏡にうつる自分の顔は変えようもないけれども、いまできる精一杯の悪あがきは完了。 居間に戻ったら、課長は背筋中。 なぜ、鍛えるんだろう。 すでに筋肉マンなのに。 「こいよ。」 ポンポンと課長の前のカーペットを叩かれ、大人しくそこに座った。 ブオンブオンとドライヤーの音が響いて、課長の指が私の髪の毛を通る。 パラパラと髪をかき上げて、丁寧に乾かしてくれてる。 後ろにいるから、見えないのに優しい指使いを感じて、きっと優しい顔をしてるに違いないと思う。 気持ちがいいなぁ。 これもしばらくお預けになるのかぁ。 しまった、また考えても仕方のないことを考えてしまった。 そんなことで思考を埋め尽くされたら、もったいない。 せっかく一緒にいられるんだから、一緒にいられる時間を存分に楽しまないと。 カチッと音がしてドライヤーの音が消えた。 「ありがとうございます。」 私のお礼の言葉が最後まで到達するよりも先に、課長の腕に後ろから抱きすくめられた。 言葉を発しない課長。 課長の腕に自分の手を重ねてみた。 ドキドキしながら、課長の腕を手で擦った。 こんな肌質なんだなと。 覚えておこうと。 色も、臭いも、触感も。 「それ、誘ってる?」 課長の言う、それが、私の行為だとするなら、誘ってるんだろうか。 「誘ってますかね?」 「クララは誘われたって言ってる。」 「ふふっ。合体しましたもんね。」 「ぶはっ、バカヤロ。歯ブラシとってくる。」 ドライヤーを持って、立ち上がった課長。 合体は、ウケたらしい。 本当は、貫通って感じだったんだけどな。
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