5300人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ
どこまでも陽気に別れてやる。
シャワーを浴びて、洗面所の鏡でイロイロとしながら決意を固めた。
手早く化粧を済ませて、着替えがないことを思いだして寝室に向かったら、居間のところで荷物を準備し終えたらしい課長が私に声をかけた。
「なー、着替えすんだろ?アレ、着てよ。先週、イトちゃんと現れたときに着てたやつ。」
・・・商店街の勢いのいいお姉さんのお店で買った服だとピンときたけど・・・あれってスカートのスリットが・・・。
それに、二の腕がバッチリ出るし・・・。
上着もあったけど・・・。
微妙な心持ちになった。
もうちょっとマシになってからの方がいいのではないだろうか・・・。
「ダメなわけ?あー、あれか、俺がつけたイタズラが見えるんじゃないかって心配かよ。見えねーって。もっと中心部にしかつけてねーっての。」
怪しいことを口走る課長。
いったいどこにつけたんだ。
私が気が付いてないだけで、私の視線からは見えにくいところにつけたのか・・・。
いや、いいんだけど。
「いーだろー。夏の思い出の1ページ目と最後のページが同じ恰好。最初はコンバットで最後は何だろうなー。」
オーマイガー。
すっかり忘れていた『コンバット』を課長は覚えているのか。
しかも、くくくって笑ってるし。
「山本に行く時間がなくなるから早く着替えてこいって。早くしないと、俺が着替えさせるぞ?」
「・・・着替えてきます。」
「おー、行け行け。」
しっしっと言わんばかりの勢いだ。
仕方がない。
課長がお望みなら、多少見苦しくても。
これが惚れた弱みというやつだろうか。
最初のコメントを投稿しよう!