ステップ11

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キャベツの千切りを口の中に。 咀嚼する度に、千切りになってるキャベツが歯の隙間に入っていくような気がする。 野菜よりもお肉の方が好きだったけれども、父親が倒れてからは野菜の登板が多くなった新藤家の食事。 野菜もけっこう美味しいなと再認識した。 野球で言うと、4番がお肉なら1番2番3番はサラダ・お汁・キノコな感じだ。 ヒット、ヒット、送りバント。 ワンナウト2・3塁。 4番赤身肉ケーゴーが登場。 満員の名古屋ドームでバットを高く振りかざして予告ホームラン宣言。 ピッチャー振りかぶって、投げた!!! 初球打ち!!! キーンという音とともにバットの中心でボールをとらえて、打球は高く高く舞い上がる。 飛距離がグングン伸びる。 入るか、入るか、観客席にボールは入るのか!!! 「おい、みゅー、どうした?」 「あっ、はははっ。いやキャベツの千切りもけっこう美味しいなと思って・・・。」 ホームラン、だったのかな。 最後まで妄想できなかったな。 「そうかよ、じゃぁ、今度山盛り作ってやるよ、千切りキャベツ。」 「・・・ええと・・・豚の角煮の方が好きです。」 山盛りの千切りキャベツなんて食べたくない。 「ちっ、みゅーのリクエストなら仕方がねー。作ってやるって。ちなみに俺も千切りキャベツよりも豚の角煮だな。で、豚の角煮よりも・・・」 豚の角煮よりも好きな食べ物。 気になりますね。 ちょっと、気持ち前のめりな感じで課長の次の言葉を待ちます。 お口に中にはポテトサラダを放り込んで咀嚼しながら。 「みゅーのが好き。」 ・・・恥ずかしい大人がいましたね。 いや、待て。 それって、私が豚みたいってことか? 煮たり、焼いたりして食べたいってことですか? 焼き豚派? 煮豚派? 「ええと、焼き豚ですか?煮豚ですか?」 「はっ?」 「豚の角煮よりも好きなんですよね?豚が。」 「・・・俺、豚が好きなんて一言も言ってねーけど?」 ん? 話しが噛み合ってない。 みゅー=豚 この式は成り立たなかったんだ。 つまりみゅー≠豚 課長が好きって言ったのは比喩とかじゃなく、ストレートに私って意味だったのか!?
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