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久しぶりの会社のお昼風景。
いつもと変わらない。
正面に安田さん、私の左に山ケン君、その正面にカトちゃん。
安田さんの隣に水谷君、その隣に佐藤係長。
私の右隣は空席だ。
課長がいないと、淋しいと思ってるのは、私だけではないらしい。
「課長の夏休みってどんな夏休みだったんでしょうねー。」
水谷君が言いだした。
「さー。彼女と一緒に遊んだんじゃないの。」
「課長の彼女さんってどんな人なんすかねー。気になりませんか?だって課長の相手っすよ?」
下を向いて、お弁当をつつく私にも聞かれてるのかもしれないけれども、その質問には答えられない。
いつかバレた日にあの質問の答えは・・・ってなるのも嫌だし。
「普通の人なんじゃない?」
佐藤係長の声だ。
そうだ、そうだ、係長、いいぞ。
「えー。課長を手懐けてるのが普通の人とかってないっすよ。きっとすげー強い女とか。はたまた、守ってあげたくなるタイプか。」
すげー強い女か守ってあげたくなるタイプ、ですか。
水谷君は人を見る目がないようだ。
「で、水谷君の彼女さんはどんなタイプなの?」
ここいらで一発、話をすり替えちゃえ。
「えっ・・・ええと、可愛くて強くて、でも弱い?」
「イロイロとご馳走様でした。」
話しをすり替えてやれと思ったけれども、見事なのろけ攻撃だ。
水谷君のくせに。
そして、その隣で照れた顔を見せた安田さんにも、うっとなった。
二人は悪くない。
ただ、私が、ラブラブな二人を見て、幸せな気持ちになるのと同じくらいちょっくら淋しい気持ちになってしまったから逃げたのかもしれない。
黙々と食べたお弁当は食べ終わっていたからおかしな行動ではなかったはずだし。
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