ジャンプ1

7/17

5300人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ
誰も悪くないのに、男女の二人連れを見ると、自然といいなぁと思うようになってしまった。 彼氏いない歴30年だった数カ月前は、何とも思ってなかったくせに。 課長のせいだ。 会社に行く電車の中。 高校生の男女。 友達同士の可能性だってあるのに、羨ましいと思う。 会社の中であからさまにいちゃいちゃするような人達はいないけれども、お弁当を食べてるときは、3課に2組のカップルがいらっしゃるのは自明の真理。 カトちゃんケンちゃんも安田さんも水谷君も悪くない。 ただ、羨ましくなってしまう自分が嫌だ。 私にだって、課長がいるはずなのに、近くにいないことがこんなに淋しいなんて思わなかった。 夏休みになるまで、どうやって過ごしていたんだっけ・・・。 週の真ん中の水曜日になったら、電話しよう。 決めた。 どうしたんだと聞かれたら、ご機嫌伺いだと言えばいいでしょう。 毎朝、メールはくれてる。 もしも、このメールがなくなったら、私はどう思うんだろう。 『おはよう。今日も暑いな。溶けそうだ。』 そんな何でもないメールに 『おはようございます。脳みそが溶けないように注意して下さいね。』 何でもない返事をして、それでもその瞬間に自分の頬が緩んでるなと思う。 課長、私の中で存在感がありすぎですよ。 もっと、小さくなってくれないと、耐えられなくなりそうですよ。 目の前にいないのに、好きな気持ちが勝手に育ってますよ。
/439ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5300人が本棚に入れています
本棚に追加