5300人が本棚に入れています
本棚に追加
/439ページ
水曜の夜。
体調とのランデブーを済ませて、お風呂にも入った。
妊娠してないけど妊娠線には、調べたらやっぱり保湿が大事らしい。
どのクリームを買えばいいのか、よく分からなかったから、妊婦じゃないけど妊娠線予防クリームを買ってみた。
予防するためのクリームに出来てしまった妊娠線を薄くする効果があるのだろうか。
いや、でも、きっと、保湿が大事なんだから大丈夫だ。
自分の化粧水が置いてある場所に一緒に入れておいた。
これで、風呂上りに塗り忘れることもない。
一応、やりたいことは終わってるから・・・電話しよう。
その前に、深呼吸。
吸って、吐いて、吸って、吐いて。
よし、精神統一だ。
課長、課長、変態課長。
勇気を出して操作をして、課長が出てくれますようにと耳に当てる。
「もしもし?みゅーの素敵な彼氏です。」
・・・絶句した。
すぐに出たのもびっくりだったけれども、まさかの言葉にびっくりだ。
「間違えました。」
プチ。
つい、切ってしまった。
せっかく繋がった電話なのに。
すぐに課長からかかってきた。
「もしもし?」
「お前、バカヤロ。間違えるわけねーだろ。そっちからかけてきておいて。面白くて笑ったじゃねーかよ。つーか元気出た。サンキュー。」
楽しそうな声で一気にまくしたてるような、そんな勢いで聞こえてきた言葉のひとつひとつが、染みてくる。
元気出た、サンキューって。
「疲れてましたか?」
「まーなー。ちょっと仕事の方が・・・ってそんな話はいいだろ。」
そっか。
仕事、大変なんだ。
大阪、今月の達成、見えてないのか。
まだ半月、残ってる。
あと半月しか残ってない。
どっちだろう。
「みゅー?お前の方こそ元気じゃねーから電話してきたのか?」
「えっ、元気ですよ。でも、週の真ん中だし、ご機嫌伺いに。」
可愛くない返事だと自分でも思う。
元気じゃないことはないけど、課長の声が聞きたかった。
きっとそれだけだ。
「ぶっ、バカヤロ。ご機嫌伺いって何だよ。つーか、じゃぁ毎週水曜日はみゅーがご機嫌伺いの電話してくる日に決定。俺もみゅーの声、聞いて頑張れるし。」
勝手に決定されたご機嫌伺いの電話をする日だけど、声が聞けて嬉しいのは私も一緒だ。
「分かりました。」
最初のコメントを投稿しよう!