ジャンプ2

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「おはようございます。」 コソコソ。 こそこそ。 大嫌いな黒光りするあの小さな生き物のようにこそこそ。 プレゼントしたら驚くけど嬉しくないサプライズだと勇気が言っていたな。 コソコソ。 佐藤係長の机の横に立って小声で声をかけようと思う間もなく係長から声をかけてくれた。 「おはよう、何か困りごと?」 困ってないですよ。 苦笑い。 そうっと、そうっと休暇願の紙を差し出した。 「あぁ、そういうことですか。ちょっと待って下さいね。」 さすが係長、大人の対応。 尊敬します。 どこまでもついて行きます。 田んぼに生息しているヒルのように食らいついて行きます。 差し出した休暇願にポンッと判を押してくれた。 よし、一仕事、終わったぞ。 「どこかにお出かけですか?」 まさかの反撃ですかーーーー!? 「はははっ、まぁ、その西の方へ・・・。」 ふっと笑って返してくれた紙を両手で受け取る。 判さえ押してもらえればこっちのものだもんねー。 「楽しんできてくださいね?英気を養って決算月もバリバリ頑張りましょう。期待してますからね。」 うっ。 さすが係長。 おだてるのが上手です。 豚もおだてりゃ木に登る。 新藤もおだてりゃ数字を伸ばす。 「ご期待に添えられるように頑張ります。」 チラリと自分の右手の指輪を見て、くだらないことを思ってしまった。 豚に真珠・・・。 新藤にダイヤ・・・。
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