ジャンプ2

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毎朝の課長からのメールは続いている。 これがなかったら、忘れられてるかもって思うかもしれない。 その朝のやり取りをして、時々、夕方に私がメールをおくることもある。 そして水曜日。 ご機嫌伺いの日だ。 課長が決めてくれたご機嫌伺いの日だから、先週ほど勇気を出さなくても電話がかけられた。 「もしもーし。みゅーちゃんのご主人様でーす。」 最近の課長は、電話にでるときもちょっとおかしい。 「未来の、ですよ。」 「ちっ。まぁいいや。そっち、営業伸びてるなーって仕事の話なんてしたくないよな。わりーわりー。」 やっぱり、大阪は厳しいのかもしれない。 稼働残り3日だし、焦ってるのかも。 「いえ、仕事の話、してもいいですよ。聞きますから。」 「んー。ごめん。やっぱ聞いてもらう。」 耳に届く課長の声。 ずっと聞いていたい。 愚痴と言えば、愚痴だし、仕方がないと言えば、仕方がないけど。 「なんかさ、俺、一人で空まわってんのかなって思うんだよなー。」 いきなり本社からやってきた若い副所長。 先月は、強引にむりくり仕事をさせた感じだったのかも。 そんな話。 上に立つやつが一番頑張ってたら、下もついてくるってのが俺の考えだったけど一人で空まわってるのかもしれないと。 具体的な数字の話じゃない。 仕事への取り組み方で課長が弱気になってるなんて。 そうとう、溜まってるものがありそう。 「空まわりな上司でいいんじゃないですか?そのままで。」 「やっぱり、空回りなのかー。」 「いや、そうじゃなくって何もしない上司よりも一生懸命空まわってる上司の方が私はやる気が湧くって話です。」 沈黙。 そして、電話の向こうから溜息。 「みゅー、ありがと。何か、また頑張れそうな気がしてきた。空まわってみるよ。」 近くにいたら、抱き締めてあげられるのに、それもできない。 相手の表情を見ることもできない。 体温を感じることも。 今、どんな顔をしてるんだろう。
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