ジャンプ2

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「なんかせっかくの電話なのに、つまんねー話ばっかりしちゃったな。」 そんな風に私に気を遣わなくてもいいのに。 もっと、弱ってる部分を見せてくれてもいいのに。 「一週間出てない便秘みたいにたっぷり詰まってましたよ。」 「ふっ、バカヤロ。どんだけ便秘なんだよ、体にわりーだろ。」 電話口の課長の声も口調も和らいだ。 全神経が耳に集中してると言っても過言ではないくらいに私の意識は耳に集中してる。 「もうすぐ、会えますね。」 「おー、すげー楽しみにしてる。一緒に食い倒れるんだろ?」 「串カツ屋さんに行きたいです。」 私と課長が一緒なら、やっぱり揚げ物は外せないだろう。 「任せておけって。」 土曜日は何時くらいに来るのかと聞かれて、チクリと胸が痛まないわけではなかったけれども、なるべく早い時間に行くと伝えた。 また連絡すると。 それから、いつものように 「せーのっ。」 プチッと電話を切った。 お疲れの様子だったなぁ。 キンピラ以外に何が食べたいんだろうか。 醤油味の卵焼きが美味しかったって言ってたっけ。 あとは、お稲荷さんも。 それじゃぁ、いつかの餞別と同じになっちゃうけどいいよね。 美味しかったって言ってたもんなぁ。 明日が終わったら、金曜日。 有給取ったし、お昼くらいに到着するように行けば、料理する時間もあるだろうし。 到着したって金曜日のお昼にいきなり電話したら驚くだろうか。 前々から楽しみだったけれども、もっと、もっと楽しみになってきた。
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