ジャンプ2

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この前まで、カップルを見かける度に羨ましくてたまらないと思っていたくせに、明日になったら課長に会えると思うと今までのどす黒い感情がウソのように晴れ晴れとしてる。 残念ながら天気は雨模様だけれども、そんなの関係ない感じだ。 緩くなった制服のスカートを見て、一人でにんまり。 夏休み中に増えてしまった体重も、どういうわけかスルッと落ちて、今や私は59キロ台の女だ。 決して細くないことは自覚してるけれども。 普通とぽっちゃりの中間を目指しているんだから、いいのではないだろうか。 普通になりたい私とぽっちゃりが好きだと言い張る課長。 折衷したら、普通とぽっちゃりの境界線を目指すべきだと結論が出た。 雨のせいで湿気が凄い。 会社の外はムンムンだった。 いつも通りにお仕事の予定だったけれども、明日、有給を貰うことを3課の皆さんに伝えて急ぎの仕事はなるべく早くくれとせっついておくことも忘れない。 残業なんてまっぴらごめんだ。 明日の用意をしなくてはいけない。 まぁ、忘れ物があったら買えばいいだけの話なんだけどね。 課長の住んでるところに、お料理できる道具がどれほどあるか分からないから、ある程度は今夜、家で用意しておこう。 油揚げを煮て。 レンコンのキンピラも作って持って行ってしまおうか。 いや、だったら、今夜、全部作って持っていったらいいかもしれない。 仕事をしつつも、頭の片隅には常に今夜から明日のことばかり。 終業時間と同時に誰よりも早く立ち上がってしまった。 「お疲れ様でしたっ!!!」 佐藤係長がクスッと笑ったような気がしたけれども、浮足立つ気持ちもきっと分かってくれてると信じてさっさと退社させていただいた。
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