ジャンプ2

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古いビルとビルの隙間に建つ比較的新しそうな鉄筋の建物。 ここが、課長の住んでるところかと上から下まで眺めてそのまま建物へ侵入。 ここでオートロックとかだったら大変だっただろうけど、そんな最新設備は搭載されていなかったようだ。 良かった。 エレベーターに乗って最上階の4階へ。 一番上の階に住んでるんだ。 隣のビルもそれくらいの高さだし、なるほどベランダから運がよければ月を眺めることもできそうだ。 エレベーターが最上階に到着した。 課長のお宅の番号の扉の前に立つ。 そして、日曜日に入手したばかりの鍵を取りだして、ドアをガツンと押さえこんで、我に返った。 ここは、押さえこまなくても開くでしょうと。 どうやら、私は課長がいなくても課長の存在を大きく感じて生きているらしい。 気が付いていたけど、こうやって改めて思い知ると課長の存在感凄いなって痛感する。 ガチャリと開いた鍵。 悪いことをしているわけじゃないと・・・思う。 でも、いきなり、許可もなく、人様のお宅に侵入する罪悪感。 住居侵入罪で捕まるだろうか。 それとも、鍵を私のために置いておいてくれたのだから同意の上だろうか。 一瞬、躊躇したものの、これは同意の上だと判断してそうっとドアを開けた。 誰もいないって分かってるのに、ドキドキする。 課長の匂いが漂ってくるんじゃないかとドキドキする。 むわんとした空気。 だよね、閉め切ってあるんだから当たり前だよね。 愛知県の課長のお宅よりも狭い玄関。 「お邪魔します。」 一応、言いましたからね。 ドアを閉めて、鍵をかけた。 外から見た感じ、狭そうだと思った予想に違わず、狭い。 革靴とスニーカー。 それにサンダルが並ぶ玄関に、私のスニーカーも並べさせていただいた。
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