かかって恋

ジャンプ２

玄関入って左側すぐに現れたのが台所。
そして右側には扉が二つ。

開けてもいいかな？
だって、どっちかがおトイレだよね？

そうっと手を出して扉を開けたら出現したのは小さなお風呂場兼洗面所。
ユニットバスってやつか。
もう一つの扉も開けてみた。
おトイレ。

狭い。
こんなところで生活してるんだ。
お風呂とおトイレが別々になってるだけ、マシなのかもしれないと思いつつ、愛知県の課長のお宅の方がずっと生活しやすいだろうなと課長の不便さを不憫に思う。

会社命令で大阪に来てるんだから、もうちょっといいところに住まわせてあげればいいのにと。

狭い台所を通り抜けて居室の方へ。

覚悟はしていたけれども、６畳くらいしかない部屋が一つだけ。
狭い。

下が収納、上がベッドになってる家具が部屋の隅にデーンと鎮座してる。
それと小さな座卓。
さらにパソコンとパソコンデスク。

マンスリーマンションなんだっけ？
きっと、パソコンとか冷蔵庫とか最初から備え付けだよね。
家具も。

暑い。
エアコンあるじゃん。
テーブルの上にリモコン発見。
ピッ。

荷物を壁際におろして、ふっと体中から力が抜けた。
疲れていたのかも。
緊張、していたのかも。

一人で大阪までやってきたことに。
課長に内緒で課長のお住まいに侵入してることに。

冷蔵庫の中に何か飲み物、ないかな。
買ってきたお弁当を食べよう。

もう一度、部屋を出て、狭い台所のワキの小さな冷蔵庫を開けた。

・・・課長・・・何をやってるんだろう。
冷蔵庫の中、お水とお酒とタマゴしか入ってない。
大丈夫なんだろうか。

タマゴを食べてたら、大丈夫とかそんな問題じゃないと思う。

でも、この台所で料理って言っても、狭いしやる気にならないのかな。
食べ物、持って来て良かったかも。