ジャンプ2

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課長への罪悪感を感じつつも、『エブ』を見たり、大阪の美味しい食べ物を検索したりしていたら時間は過ぎていくもので。 いつもだったら、忙しく会社で退社時間をこまめにチェックしながらラストスパートをかけたり、掃除をしたりしている時間かと思うと叫びたくなる。 有給万歳って。 何時位に電話したら邪魔じゃないかな。 退社時間と同時だったら、仕事してるよね。 ここはやっぱり、30分くらい後の方がいいかな。 どんな反応するんだろう。 驚くだろうか。 きっと驚くに違いない。 愛知県の課長の部屋に行ったことも報告してないんだから。 そこで鍵を見つけて、早速大阪に来てるなんて絶対に思ってないはず。 勇気の言葉が本当だったら課長は嬉しいに決まってるらしいから。 いつもの私なら、そんな自信はもてないけれども課長と同じ男の勇気が言うんだからきっとそうなんだと思う。 狭いおトイレを借りて、課長への電話に備えよう。 備えあれば憂いなしだ。 気合い十分で正座をして、今か今かと決めた時間を待つ。 足が痺れてきそうだ。 これだから体重が重いと嫌なんだ。 いやいや、でも、正座ができるだけいいと思うことにしよう。 本当に大きな人は膝への負担が大きすぎて正座も和式お便所も苦しいと聞いたことがある。 正座もできて、和式お便所もできる、それでいて課長の好みのぽっちゃりを逸脱しない程度の普通体型。 目標を新たに、スマホを手に取る。 さぁ、このスマホから電波に乗せて、私の気持ちを課長に届かせよう。 まるで告白するみたいにドキドキする。 あっ、告白したことないや。 初めての告白だ。 愛の告白ではなく、犯罪の告白になってしまうけれども。 住居侵入罪。 しかも、先週も課長のお宅に侵入してるんだから、余罪を追及されたら逃げられない。 お縄だ。 縛られても文句は言えない。 時間がキタ!
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