ジャンプ2

17/25
前へ
/439ページ
次へ
ダメだ、落ち着こう。 課長に限って、そんなことない。 きっとない。 絶対にない。 今日は、きっと忙しいに違いない。 明日と明後日、私と遊ぶために残務処理を山ほど抱えて、印鑑片手に書類にハンコを押しまくってるに違ない。 スマホの時計を見たら夜の七時半。 あと30分。 あと30分したら、もう一度、電話をかけるんだ。 そうだ、あと30分も待っていたら、その間に課長の方から私に連絡がくるかもしれないじゃないか。 そうだ、悪い方へばかり考えたら、ダメだ。 人生、前向きに。 3歩進んで2歩下がったとしても、1歩分は前進してるんだから。 落ち着かない。 暇つぶしのために、ストレッチでもしてみようか。 30分、経ってしまった・・・。 連絡はない。 金曜日の午後8時。 本来だったら仕事から解放されて明日明後日の二日間の休みに向けて心が軽やかになっている時間だ。 生唾をごくりと飲み込んで、スマホを握る。 本日3度めの課長への電話。 出て下さいと祈るような気持ちで人差し指をタップさせた。 ・・・出てくれない。 どうしちゃったんだろう・・・。 まさか、帰り道で強そうな『なにわ』ナンバーの車に轢かれて今頃病院へ・・・? いや、そんなわけない。 だったら病院関係者が何度も電話をしている私に電話をかけてきてもおかしくないはずだ。 むしろ、病院に行った方がいいのは、さっきからろくでもない想像ばかりしてる私の方だ。 一回、頭の中身をCTスキャンしてもらった方がいいかもしれない。 ピーポ―ピーポーだ。 もう一回、電話してみよう。 だって、もう終業時間もいい加減に過ぎてるし残業してるにしても、一度くらい私に連絡してくれてもいいじゃん。 昼間も夕方も電話したんだから。 お願いだから、課長、出てよ。 バカな想像ばっかりして、不安でたまらないから、安心させて下さいよ。 祈るような気持ちで本日4度目の電話・・・。 プッと繋がった先の喧噪。 出た!!!
/439ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5300人が本棚に入れています
本棚に追加