ジャンプ2

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プシュっと缶を開けて、グビっと一口飲んだら、カッと喉と顔が熱くなった。 焼けるほど熱い。 それから、一呼吸して目から涙が溢れてきた。 鼻の奥もつーんとしてる。 ウソツキ。 他に女の人がいるなら、さっさと私に別れようって言ってくれたらよかったのに。 そしたら、大阪まで来ちゃったりしなかったのに・・・。 ここに、帰ってきたら、刃傷沙汰間違いなしだ。 目の前に包丁あるし・・・。 お重の中の卵焼きが憎い。 食べてやれ。 キンピラも。 課長が美味しいって言ってくれたから作って持ってきたのに。 こんなに一人で食べきれない。 ムカつく。 悲しいよりも、ムカつく。 いや、やっぱり、悲しい。 課長のお宅で、ピンクの蚊帳の中で優しく私に触れた課長の手が誰かを触っていると思うと吐き気がする。 あの手が私を優しく触ったのは、たったの半月前なのに。 酔っ払ってやれ。 本当に課長をここで仕留めてしまったら、シャレにならないよね。 それこそ、海川物産社員とニュースで名前が出てしまったら、たくさんの人に迷惑がかかる。 そんなヘマはしたらダメだ。 迷惑は課長にだけかければいい。 最後くらいはおもいっきり、困らせてやりたい。 そうだ、ここで私が首を吊っていたらどうだろう。 きっと、課長は困るはず。 缶を握って、ゴクリとまた一口。 頭の中がフラフラしてきた。 ロープを買ってこないと。 確か、近くにコンビニがあったはずだ。 思い立ったが吉日。 バッグを持って、立ち上がった。
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