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体が痛くて目が覚めた・・・。
部屋を見渡しても、私以外に誰も発見できない。
つまり、課長は帰ってこなかったのか。
座卓の上には、私が飲み食いした残骸が・・・。
まだまだたっぷり入ってる食べ物。
本当は、課長と一緒に食べたかったのに。
本当なら、電話で驚く声を聞いて、ここに帰ってきた課長に
「お帰りなさい」
と言うつもりだったのに。
全部、無駄になったんだ。
・・・バカだよね。
美由紀殺人事件を課長のお宅で展開してるって。
食べかけのお重、飲みかけのお酒がそのバカバカしさをアシストしてる。
洗面所を借りて、帰ろう。
もう、いいや。
もしかしたら、マキと会ったその足で私を新大阪まで、迎えに行くつもりだったんだろうか。
そうだとしたら、これ以上の屈辱ってない。
知らないと思って・・・。
知ってるもん。
普通の神経だったらそんなことしないよね。
早く帰宅して、彼女がやってくる時間に間に合うようにそれなりに部屋の掃除とか身支度とかしてから迎えに行くよね。
朝になっても帰ってこないって、私、どれだけ課長にバカにされてるんだろう。
好きだって言われて、舞い上がってたのは私の方だったのかもしれない。
溜息を吐いて、洗面所の鏡に映る自分の顔を見た。
酷い顔。
泣いたってすぐに分かるほど、瞼が腫れあがってる。
まさか、自分が男のことで泣くなんて。
前向きに考えよう。
そうだ、恋愛なんて無縁だったのに、男のことで瞼が腫れあがるほど泣いたんだぞ。
成長じゃないか。
楽しいひと時を課長のおかげで過ごせたことは、ウソじゃない。
それに、30歳で処女なんていう、恐ろしい事柄とも、取りあえずサヨナラしたじゃないか。
・・・課長だけで良かったのに。
課長以外と恋愛なんてできないと思うのに・・・。
顔を洗っても洗っても、洗い直さないといけないくらい次から次に涙がでてきた。
「う~っ・・・。かちょーのばかぁ・・・・。」
あぁ、やっていられない。
こうなったら、この鏡にもケチャップ攻撃だ。
転んでもタダじゃおきないところを見せてやれ。
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