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「「由香里、ねえ由香里ってば」」
「「...うん?」」
いつの間にか由香里は寝ていた様だ。
「「もう、今日は勉強教えてくれる約束だったのに...」」
「「ごめんごめん、ちょっと寝てただけだよ」」
この生暖かい空気が、何だか一生の時間にも感じた。
「「それに私達友達だし、忘れるわけないじゃん」」
「「本当?本当の本当に友達?」」
何を今更言ってるのか、本当も何も無いだろうに。
「「ええ、本当よ、私達はずっと友達...」」
『じゃあ何で、私を助けてくれなかったの?』
「「...!?」」
背景が変わる、この夢の様な日々から一転していく
私の理想が壊れていく
『ねえ、何で?何でよ...』
「「やだ...やめて...」」
お願いだから、その事は言わないで。
『何で私を見殺しにしたの?』
「「もう放っておいてよ!!」」
___「...!?」
夢だった。
「...」
由香里は洗面所に向かった。
「はあ...はあ...」
何度も顔を洗った、何度も手を洗った。
何度も、過去を洗い流したかった。
「う...」
気付けばそこには、涙を流している自分が居た。
駄目だ、自暴自棄になったら。
「よし...」
もう泣かない、泣いた数だけ弱さになるから。
取り敢えず、リビングに行った。
「誰も居ない...」
おかしいな、お母さんぐらい居てもいいのに。
「...ってもう10時!?」
やばい!!大遅刻だ!!
「あ、そうか...」
今日は休校日だった。
しかし昨日は色々あったからかな、アラーム放置でこんな時間帯まで寝てたなんて...
__ピンポーン
すると由香里の家のインターフォンが鳴った。
「誰だろう...」
家に由香里以外誰も居ない為、必然的に彼女が出る事になる。
「はい、どちらですか?」
ドアを開けた瞬間に誰だか分かった。
「おはよ~!」
賀谷野達也、由香里のクラスメイトだ。
「何しに来たの?」
「あ、まだ寝てたか?」
あ、まだパジャマだったか。
まあいいか、別にどうでも良いし。
「それで、何?」
「いや、ちょっと一緒に歩かないかって誘おうとして」
「はあ?」
何の為に?意味分かんない。
「荒木から聞いてさ、もっと他に犯人が居るって...俺あの時対して何もしてないから、その犯人について何か分かれば良いなと思って、それで...」
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