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四式は姫希の拘束を解き、後ろに引き下がらせる。
紅理事長は眉を顰めた。
「……何の真似かね、四式波瑠綺」
「なぁに、話の続きをしましょうか、理事長。
……さて月日は流れ、御堂零は屈折して成長した。理事長の傀儡となってね。
身元引き受け人として、理事長と生活の約束をした零にとっては、彼の言うことは絶対だったのかもしれない。
どんな仕事もあいつはこなした。その裏の真意にも目をつぶって。
人助けが目的の奴からしてみれば、信頼している相手が、裏でえげつない事をしてるとは夢にも思うまい。それが、両親の親友だった人ならば、尚更だ」
「だから何の真似をしてるのかと、訊いているんだッ!!」
理事長の激怒を四式は受け流す。
「過去にあれだけの死者を招いた魔法実験を理事長は微塵も諦めていなかった。むしろ成功の確信を掴み、研究の速度を上げた。
――器たる御堂一華は失敗。魂の定着は不可能として、御堂零の戦闘力を計測する事に専念。
『魂は人を選ぶ』。
その意味では実験は成功と言えた。
そして更なる月日をかけ、学園の特待生を選出するという名目において、ついに理事長は十羽乃姫希――君を見つけた」
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