0人が本棚に入れています
本棚に追加
「キサマッ……! ここに来て、ここまで来ておいて裏切るというのかッ!?」
理事長はスーツの内側から銃を取り出し、銃口を四式に向ける。
「レプリカ、という魔法クラスだな君は。このクラスには別の隠語がある。〝人形〟〝コピー〟と言った別名だ。
……そう、君は紅理事の娘に瓜二つの存在なんだ。もちろん血縁関係はない。ただ、君の両親が理事長とどう絡んでいたのかは不明だ」
四式は姫希を階段がある後方へ押した。
「行けっ、十羽乃! 御堂達を連れてここから脱出しろ!」
「そんなっ! 先生、貴方は!?」
「私はこの不貞の輩と、誇大妄想の塊である機械を破壊する。……済まなかったな、お前らをこんな目にあわせてしまって」
優しげな笑みを四式は姫希に差し向ける。
姫希は四式に言われた通り、階段を駆け下りて行った。
「待てッ! 我が〝娘〟よッ!!」
パンパンッ、と乾いた音が響いた。
銃弾は真っ直ぐ姫希の元に向かうが、途中でピタッと動きを静止し、バラバラッと地面に落ちる。
「いけないな理事長――貴様の相手は私だ」
「……四式、波瑠綺……ッ!!」
四式の相手をする間にも、目標は去っていく。
だがこの〝最強〟をどうにかしない限り、姫希を手中におさめる事はかなわないだろう。
「……いいだろう。まずは君を排除する。この裏切り者がッ!」
「ふん、望むところだ。貴様の幻想はこの手で私が潰す」
最強の魔法使いと、最弱の一般人の戦いの火蓋が切って落とされた。
最初のコメントを投稿しよう!