第四章三話

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「なんだか、にわかには信じがたい話だ……」    姫希から事の経緯を聞き、零は言った。  一華も同様だったようだ。  ただ感情が思考に追いついていないようで、戸惑っていた。  だが同時に、そうかもしれない、という心の声があった。  確かにあの理事長ならやりかねないかもしれないという想いが、強く零の裡に根づいていた。 「信じられないのは、私も同じ……。でも、本当のこと。お願い……、信じてッ……!」 「……分かった、信じるよ。姫希が言うんだから、間違いない」 「兄さん……?」    一華が怪訝そうにする。 「それより早くここから脱出しよう。嫌な予感がする。あの四式が負けるはずがないと思うけど、さっきから、彼女の魔力がどんどん弱まってる。……だから一刻も早く、ここから出よう」    零の発言に二人は頷いた。  三人が祭壇場から逆の方向へ駆けようとしたその瞬間、〝何か〟が高速で横切った。  ボン、と毬が弾むように転がり、停止する。    零は転がった〝それ〟に、素早く駆け寄った。 「――ッ!?」  それは先程の話題に出た四式波瑠綺、その人だった。
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