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第四章四話
「四式ッ!」
零は倒れた四式に呼びかけると、彼女は口から血を吐出していた。
「先生、を、つけろ……、莫迦者が……!」
敬称をつけない零に、いつもの軽口を呈する四式だが、その表情は苦痛に歪んでいる。
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ! 何があったんですか! どうして貴方程の魔法使いが、そんな姿に――」
「零、そんな解り切った事を訊くべきじゃない」
バッと背後を振り返る。
いつの間にか、紅蒼時がいた。
「彼女は私が叩き潰した。そう考えるのが自然だろう?」
「紅――蒼時ッ!!」
零は姫希達を護るように臨戦態勢に入る。
だがどうして四式が負ける?
四式は〝最強〟であり、紅は零の知る限りでは魔法を扱えないただの一般人だ。
四式が敗北する要因に心辺りがない。
「ああ……零、落ちつけ。まず私の話をきくんだ」
「……何ですか? 僕が動けない間の出来事は全て姫希から聞いた。交渉の余地は――ない」
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