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「零――ッ!」
姫希があらん限りの声で雄叫びを上げる。
零は自分の身に何が起きたか、うまく理解できなかった。
ただ、自分の背中に何かが突き刺さっている。
その実感はあった。
崩れ落ちる零に姫希が駆け寄る。
「しっかりして! 零君ッ!」
治癒魔法を零にかける。
だがその傷は一向に塞がらない。
むしろ傷口は開いてく一方で、零のうめき声が増大するばかりだ。
「なん、で……? どうして……?」
「当然だ十羽乃姫希。その短刀には魔力を吸収する宝石が埋め込まれている。君の魔力も、御堂零の魔力も吸収されている」
四式の冷静な態度に、姫希はキッと睨んだ。
「どうして……ッ! どうして、そんな平気でいられるんですかっ!?」
「簡単だ。私が御堂一華を操って零を刺させたからだ」
「え――?」
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