第四章一話

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 気付くと四式の傍らには、虚ろな目をして佇む一華の姿があった。  意識が朦朧としているようで、だらんと両肩を下げ頭を垂れている。  どう見ても、正気とは思えなかった。 「四式、先生……。貴方、一華ちゃんに、何を……」 「人心操作の魔法だよ。御堂零を突き刺すように暗示をかけておいた」    淡々と事実のみを語った四式に姫希は戦慄した。 「どう、して……? どうして? 先生は、私たちの、味方じゃ、ないんですか……?」 「――それは私から説明しよう、十羽乃姫希君」    唐突に男の声が室内に響いた。この場に似つかわしくない声だった。 「彼女は我々、『暁の風』のメンバーなのだよ」    暗闇の奥から、カツンカツンカツンカツン、と足音を鳴らしながら男が歩いてくる。  スーツ姿に、ネクタイをしている。  壮年という割には、若々しいオーラを漲らせているその人物を、姫希は知っていた。
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