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第四章十四話
「姫希……いま、君を助けるよ」
祭壇に辿り着いた零は、疑似装置に手をかざし、その構造内部を把握する。
どのスイッチを押せば機械を誤作動なく止められるのかを理解し、そして実行していった。
装置は停止し、容器の蓋が開く。
溶液がぼたぼたと溢れ、中身が抜けきってから、姫希を中から出した。
「あ……」
彼女を抱きしめた零は、思わず頬が熱くなった。
衣類の一切を着ていないので、姫希は全裸だった。
とりあえず上着を彼女に着せる。
何もないよりかは目のやり場に困らなくていい。
「すー、すーっ……」という寝息が聞こえる。
良かった。彼女もまた無事なようだ。
時間が経てば彼女も直に目を覚ますはず。
その時までに、姫希を蒼夜達の元に運べればいいのだが……。
――ゾクッ――
その時、零の総身を悪寒が貫いた。
とてつもなく邪悪で、憎悪で滾らせた殺気が零を襲う。
「この……魔力は……ッ!?」
零は知っている。この殺気を、気配が誰なのかを。
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