第四章十四話

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 だが、有り得ない。  崩落した場所で彼は埋もれた筈だ。  だから、有り得ないんだ……! 「――ッ!?」    突如炎が吹き荒れる。  業火を纏った蹴りが零を穿つ。  灼熱の痛みが零を襲った。 「よおぉ、御堂……! 地獄から、舞い戻ってきたぜ――ッ!!」    斜交時雨……!  残忍で獰猛な笑みを浮かべながら、彼は現れた。  零が消した魔法疑似装置のスイッチを斜交は再び入れる。  零は彼が装置の起動をした意味を知る。 「お前……!! その胸の装置は――」    斜交はニヤリと嗤った。 「そう。紅の野郎が使ってたモノだよ。死んだ奴にはもう必要ないだろう?」    死ん、だ……? 「お前……一体、いま、何て言ったんだ……?」    時雨は不快そうに眉を顰(ひそ)める。 「? 死んだって言ったんだ。殺せ、殺せって喚いてたから俺が止めを刺しといた」    淡々と、それが自然の営みのように時雨は話す。  まるで自分は殺人を行うのが当然だというように。  零は時雨に一つの疑念を抱いていた。  人間として正しい行いを――斜交時雨は殺人という行いを、自らのアイデンティティとしているというのだろうか。
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