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それは生まれ持った宿命のように、殺人行為が斜交時雨に染みついているのではないだろうか。
そしてその疑惑は次の瞬間、彼の言葉で確信へと変わった。
「しかしあれだな。お前があいつを死の淵まで追いやったんだ。お前も俺と同類だな」
「違う! 俺は人を殺す行為なんて楽しんでない! お前と一緒にするな!!」
「違わねえよ。お前は、人殺しが好きなんだ。じゃなきゃあ、大火災を引き起こして、今の今までのうのうと生きてこれるわけがねえ。お前は自らの行いを恥じて、後悔して、惨めな場所で最後を迎えるべきだったんだよ」
だから、俺がここでお前を殺してやる。
そう言って、時雨は消失した。
「――ッ!?」
奴の姿を探そうとした刹那、紅蓮の拳が食い込んだ。
槍を彷彿させる鋭さの一突きに、零はむせる。
そして炎が零を襲った。
肺が熱い。
焼けた大気を吸い込こんだので、喉がひりひりする。
視界も定まらず、意識が熱で朦朧(もうろう)とする。
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