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第四章十五話
零が目を開くと、真っ白な世界が広がっていた。
見渡す限り白く、果てがない。
どこまでも続いてく水平線のような世界に、零はいま立っている。
まるで時間が流れていない世界のようだった。
ここは……?
どこだろうと、首を傾げる。
自分は先程まで常磐学園の地下にいたはずなのだが。
ひょっとして自分は死んでしまったのではないだろうか、と妙に得心する。
十羽乃姫希を助けれず、挙げ句、斜交時雨に殺された。
だからここは天国……いや、違う。
ここは地獄だ。
大量の殺人を行った人間が天国にこれるはずがない。
仮に天国や地獄といった死後の世界が在るとするならば、神様は迷わず御堂零を地獄に送りつけるはずだ。
頽(くずお)れ、乾いた笑いがこぼれる。
自分は一体いままで何をやってきた?
常磐市に住む人達をたくさん殺し、師匠と出会い、四式波瑠綺と出会った。
一華と一緒に過ごし、過去の罪を払拭するかのように、善意を行ってきた。
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