第四章十五話

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「零よ! 私の名を言ってみろ!」 「……偉大なる魔法使い〝レイ〟です……」 「そう! レイだ! 全世界の頂点、過去現在未来における時間軸において、最強の魔法使いの名前――それが私だ! 私と同じ名前を持つ貴様がその様でどうする!?」    師の尊大な宣言に零は苦笑する。 「相変わらずだな、師匠は……」 「たわけがッ。貴様も全く変わっておらん。つくづく不肖の弟子だよ、貴様は」    師匠は零に手を伸ばし、立たせる。  対面した師匠は唇の片端を吊り上げている。  まるで四式波瑠綺のような不敵な笑みだった。 「……師匠、ここはどこですか?」 「ここはオール・イン・ワンの先にある世界。いわば時間が完全に停止した世界だ。  どこにでもあって、どこにも属さない。余りにも情けない弟子の闘いから私が意識だけ抜き取ってきた」 「僕は死んだんじゃなかったのか……」 「莫迦者。死んだところで、現時点では貴様の魂は転生されん。ほれ」
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