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『愛にはそれぞれのカタチがある。それこそ十人いれば十通りの愛のカタチが。君は理解されないだろうがね』
理解出来ないし、理解したくもありません。
『ああ、そうだな。私も君を理解したいとは思わないよ』
そういうと男は容器の外にある装置のスイッチを押す。
すると急激に息苦しくなってきた。
それまで意識をかろうじてつなぎ止めていた精神の糸が、散り散りになって千切れていく。
意識の欠片がバラバラに散っていく最中、不意に男に違和感が生じた。
どこか焦っているようで、まるで意図しない〝何者か〟が現れたようで、それは如実に伝わってきた。
『零……。お前はどこまで私の悲願を邪魔しようというのだ? そこまでして御堂の血筋は私を許さないということなのか?』
零。
懐かしい響き。
私を魔法使いのパートナーと呼んでくれた人。
私の、大事な人……。
『陣と凜に代わってお前が私を裁くというのなら、よかろう……私がお前に引導を渡してやる。あの世で両親とともに過ごすがいい!!』
激昂する男は階段を飛び降りる。
姫希の意識はそこで途切れた。
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